長谷部葉子研究会

長谷部葉子研究会
私たちは国内外を問わず教育現場を起点として、より良い社会を目指してソーシャルトランスフォーメーションに取り組んでいます。肩書きにとらわれない大学生が様々な現場に足を運び域産官学様々なセクターに対してそのパッションと時間を存分に費やす中で異文化を通じて小さな意識の変化の連鎖を生み出しています。このようにお互いの強みを掛け合わせて協働しソーシャルトランスフォーメーションをカタチにする中で、私たちは豊かなコミュニケーションを取ることを大切にしています。まず、自分を知り、相手を知り、相互理解を深める、こうした異文化・自文化理解とコミュニケーションが「教育」の原点となり、共感を土台とした人育ての輪が広がり、様々な形で社会の仕組みづくりが始まると考えています。
慶應義塾大学(湘南藤沢キャンパス)所在地
〒252-0882
神奈川県藤沢市遠藤5322
アクセス
・小田急江ノ島線・相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄ブルーライン「湘南台」駅下車
西口よりバス「慶応大学」行き約15分「慶応大学本館前」下車
・JR東海道線「辻堂」駅下車
北口よりバス「慶応大学」行き約21分「慶応大学本館前」下車

担当教員からのメッセージ
〜Profile〜
長谷部葉子准教授
環境情報学部准教授/制作・メディア研究科委員
英語教材、教授法、遠隔教育、カリキュラムデザイン、異言語・異文化コミュニケーションを専門とする。

2016年に開田高原出身の学生個人が、研究会内のGEP(Glocal English Project)から独立し、自らの故郷でより多様な教育の機会を中学生に創出したいという趣旨でプロジェクトを立ち上げ5年目を迎えました。このプロジェクトは2018年に、後輩に引き継がれチームでのプロジェクトへと成長し、現在に至っています。先輩の郷里の魅力に惹かれ、プロジェクトに参加した外からの学生たちが、毎年開田高原の皆様と共に、ご一緒に歩みを進めてこられていることは、とても感慨深く、受け入れて育んでくださった開田高原の皆様の懐の深さに指導教員として深く感謝しております。
このプロジェクトはこれからも持続可能な存在になったと確信しています。それは、開田高原外の出身の学生で構成されている現在のプロジェクトが、開田高原を故郷とする個人の学生から始まり継続してここまで成長してきたのは、何よりも開田高原の皆様とのご縁の強さの表れ以外の何物でもありません。
大学には、日本内外から多様な学生が集まってきます。それぞれに大切な故郷があり、その故郷を携えて大学で一同に会します。学生たちには、どこに行っても「故郷に心を戻し、それをカタチにする行動をとる」ということを自らの意志で、大学時代に学問、その自らの専門性と結び付けて実践してほしいと常に願い、指導しています。
自らの故郷の価値に改めて心を動かされ、自らの故郷のために何か行動を起こす、この「想いの熱量」がその故郷を知らない他の学生をひきつけ、巻き込み、次の新たな外からの継承者を生み出します。そしてその継承者たちが、何よりも仲間の故郷に興味をもち、足を運び、そこに暮らす皆様に、仲間のご家族にお世話になるうちに、その新たな仲間の故郷を、自分の「第二の故郷」のように想い始め、当事者意識をもって、取り組むようになります。
そして真摯な気持ちで、謙虚に足を運び、関係性を紡ぐうちに、その素晴らしさを語り始め、新たな人々を巻き込んでいきます。この経験を通してその新たな場所への愛着とは別に、改めて、自分自身の故郷への愛着も記憶の底から沸き起こるように、蘇ってきます。その結果、第二の故郷と自分の生まれ故郷、そして大学生活を送っている大学がある地域の三か所をつなぎ合わせ、それぞれの立場を尊重した、当事者意識が生まれてくる、この連鎖と循環が、地域づくり、ひいては国造りの基盤になると私は信じています。
2020年1月の大懇談会の折に、私の大学の教員人生はあと残すところ4年であるとお話ししたところ、即座に参加者のお一人から、「開田高原に住みにくればいい!」といっていただきました。まだ新参者であるため、一瞬驚き言葉に詰まりましたが、あの瞬間ほど大きな喜びを抱いたことはありません。一人の方からでも、この一言を皆さんの前で言っていただけたこと、これこそ、ご縁を持たせていただいている学生と教員がこれからもご一緒に歩みを進める、という未来図にほかならないと、しっかりと記憶にとどめています。
これからは、このCOVID19の現状を嘆き、自粛によって委縮するのではなく、新たにオンライン化の必要に迫られたことで、目の前に置かれた未来への可能性と向き合わざるを得なくなりました。そう、私たちはまるでドラエモンの「どこでもドア」を手に入れたといっても過言ではありません。これから開田高原、さらには木曽町の歴史と伝統を保持しつつ、日本国内へ、海外へさらに新たなドアをご一緒に拓いていきたいと考えています。
“我らは、常に共にあり。” これからも引き続き学生ともども、宜しくお願いいたします。
令和二年五月五日 慶應義塾大学環境情報学部准教授 長谷部葉子